世田谷区といえば、その穏やかな住環境や豊かな自然が魅力的なエリアとして知られています。しかし、その文化的な面では、特に美術館が際立ってその価値を示しています。区内に散在する数々の美術館は、地域文化の発展と維持に不可欠な役割を担っています。
今回は、世田谷区のおすすめ美術館を紹介しつつ、それぞれの施設がどのように地域の文化的価値を高めているのかを掘り下げます。区立の美術館から、民間で運営される隠れた名所まで、多岐にわたる展覧会とアート作品が区の多様性と深さを物語っています。
- 世田谷区のおすすめ美術館
- 世田谷区の美術に対するとりくみ
世田谷区のおすすめ美術館一覧
世田谷美術館

- ユニークな建築と自然環境の調和
- 芸術と多彩な展示との探求
1986年に開館した「世田谷美術館」は、東京都世田谷区内の緑豊かな砧公園に佇む文化のオアシスです。広大な自然に囲まれたこの場所は、自然光を存分に活かしたユニークな建築デザインと調和しています。
世田谷美術館の企画展では国内外の現代アーティストに焦点をあて、画期的な作品を紹介しています。一方、美術館のミュージアムコレクションでは、古今東西の名作を定期的に展示。これにより、芸術の歴史とその普遍的魅力どちらも世田谷美術館で楽しめます。
美術鑑賞だけでなく、美術館内にあるカフェやレストランで優雅なひとときを過ごすこともできます。ランチタイムには美味しい料理を楽しむことができ、またティータイムにはリラックスと共に素晴らしい景観を楽しむことができるでしょう。
世田谷美術館の概要
美術館名 | 世田谷美術館 |
住所 | 〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1丁目2番 |
電話番号 | 0334156011 |
アクセス | 小田急線「千歳船橋」駅より「田園調布駅行き」バスに乗車「美術館入口」で下車し徒歩5分 |
営業時間 | 10:00~18:00 (入館は閉館30分前まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、年末年始(12/29〜1/3) |
所要時間 | 60~120分 |
料金 | 観覧料(ミュージアム コレクション) 一般: 200円 / 65歳以上: 100円 / 高大学生: 150円 / 小中学生: 100円 ※企画展は内容によって異なる。 |
来館サポート情報 | 車椅子・昇降式車椅子の貸出し / 車椅子用エレベーター / 多機能トイレ・車椅子専用トイレ 原則講演会での手話通訳 / 補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)の同伴 ベビーカーの貸出 / 授乳室・おむつ交換台(女性用トイレ内) |
補足情報 | 無料駐車場あり 障害者用駐車場(2台分)あり |
公式HP | 公式サイト |
五島美術館

- 「源氏物語絵巻」を含む国宝5件と重要文化財50件が閲覧できる
- 綺麗に手入れされた庭園を見ながら展示品を試しめる
東京都世田谷区上野毛に位置する「五島美術館」は、日本の美術史において特別な位置を占めています。この美術館は、昭和35年(1960年)4月18日に開館し、東急電鉄の創業者である五島慶太による個人的な蒐集活動が基となって設立されました。五島慶太は、鉄道事業を手がける一方で、日本や東洋の古美術品に深い興味を持ち、その美的価値を広く共有するためにこの美術館を設立しました。
五島美術館は歴史的に重要な文化財を多数所蔵しており、中でも「源氏物語絵巻」を含む国宝5件と重要文化財50件が注目されます。これらのコレクションは、主に明治時代以前の日本および東洋のアートピースから成り、総数で約5,000点にのぼります。
美術館の敷地は、約6,000坪の広さがあり、その中に美しく手入れされた庭園が含まれています。この庭園は、美術館の展示品と同様に来館者に多大な癒しを提供します。庭園の中を歩きながら、自然の美しさと共に古美術品の歴史を感じることができるのは、五島美術館の大きな魅力の一つです。
五島美術館の概要
美術館名 | 五島美術館 |
住所 | 〒158-8510 東京都世田谷区上野毛3-9-25 |
電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル)・03-3703-0661(テープ案内) |
アクセス | 東急・大井町線(各駅停車)「上野毛(かみのげ)駅」下車徒歩5分 |
営業時間 | 10:00~17:00 (入館は閉館30分前まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、年末年始、展示替期間、夏季整備期間など |
所要時間 | 60分 |
料金 | 一般1,100円/高・大学生800円/中学生以下無料 |
来館サポート情報 | 車椅子の貸出し 多機能トイレ・車椅子専用トイレ |
補足情報 | ・障害者手帳をお持ちの方、ならびに介助者の方1名は200円引 ・庭園入園のみ(展覧会をご覧にならない場合)は1人300円(中学生以下無料) |
公式HP | 公式サイト |
長谷川町子美術館

- 『サザエさん』の漫画家である長谷川町子により設立された美術館
- 漫画原画だけでなく洋画・ガラス細工・陶芸品・彫刻なども見れる
「長谷川町子美術館」は、世田谷区に居を構える、国民的漫画家長谷川町子とその姉・毬子が集めたアートコレクションを公開した施設です。この美術館は1985年11月3日に開館し、様々なジャンルの美術作品を展示する場として創設されました。日本画や洋画、ガラス工芸、陶芸作品、彫刻など、作家の名前に拘らずに選ばれた作品が展示されています。
長谷川町子が1992年に亡くなった後、美術館は彼女の名を冠し、より親しみやすい空間となるよう変化を遂げました。現在では、数多くの収蔵コレクション展を通じて、訪れる人々が自由な発想でアートを楽しめるよう、特定のテーマやジャンルに囚われない展示を行っています。
特に町子コーナーは、『サザエさん』『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』などの漫画原画に加え、長谷川町子が創作した陶芸品や水彩画も鑑賞することができます。
長谷川町子美術館の概要
美術館名 | 長谷川町子美術館 |
住所 | 〒154-0015 東京都世田谷区桜新町1-30-6 |
電話番号 | 0337018766 |
アクセス | 東急田園都市線 桜新町駅下車 徒歩7分 東急バス 桜新町1丁目下車 徒歩1分 ・目黒駅←→弦巻営業所(黒07)/都立大学駅北口←→弦巻営業所(都立01) |
営業時間 | 10:00~17:30 (入館は16:30まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、年末年始、展示替期間 |
所要時間 | 60〜120分 |
料金 | 一般 900円 (800円)/65歳以上 800円 (700円) 高・大学生500円 (400円)/小中学生 400円 (300円) *()内は20名様以上の団体・障がい者手帳をお持ちの方とその介護者 |
来館サポート情報 | 車椅子での入館 (記念館のみ) ベビー休憩室あり |
補足情報 | 身障者用の駐車場有 |
公式HP | 公式サイト |
村井正誠記念美術館

- 抽象絵画の先駆者として知られる村井正誠を記念して創設
- アトリエがそのままの形で保存されているため日常と作業環境を味わえる
世田谷区に位置する「村井正誠記念美術館」は抽象絵画の先駆者として知られる村井正誠名誉教授の芸術的遺産を保持するために創設されました。設計は、妻である伊津子さんの依頼により、国際的に著名な建築家隈研吾氏が手がけ、村井氏の生誕100年を記念して建てられたものです。この美術館は、村井正誠の創造的な精神と生涯を祝福し、後世にその影響を伝える場として重要な役割を担っています。
美術館内部は村井氏のアトリエがそのままの形で保存されていることが大きな魅力です。彼が実際に創作活動に使用した場所としての空間は、アーティストの日常とその作業環境をリアルに体感できるよう配置されています。また、彼の未発表作品はもちろん、個人的な物品や制作に用いられた道具など、彼の生活と密接に関わるアイテムも展示され、来館者に彼の人となりを深く理解するための窓口となっています。
村井正誠記念美術館の概要
美術館名 | 長谷川町子美術館 |
住所 | 〒158-0091 東京都世田谷区中町1-6-12 |
電話番号 | 0337049588(日曜日のみ) |
アクセス | 東急大井町線 等々力駅から徒歩2分 |
営業時間 | 11:00~16:00 |
開館日 | 日曜日のみ (春期: 3月〜5月・秋期: 9〜11月) |
所要時間 | 60〜120分 |
料金 | 一般 800円/中学生以下は無料 |
来館サポート情報 | 正面玄関まで車椅子での入館可 |
補足情報 | 予約制のため往復はがきに来館者の氏名・住所・電話番号・来館希望日時を明記し、 上記住所宛に来館希望日の1週間前までにご郵送する必要有 |
公式HP | 公式サイト |
結工房 田嶋宏行記念美術館

- 日本の伝統技法と禅の思想が融合した作品が見れる
- 訪れるたびに変わる約1000点もの貴重な画材や色見本帳が見れる
世田谷区に位置する「結工房 田嶋宏行記念美術館」は、故田嶋宏行の持つ創造のエッセンスを感じさせる場所です。この美術館は、田嶋氏が生前に精力的に作り上げた各種版画作品をはじめ、油絵や俳句まで展示しています。それぞれの作品は、日本の伝統技法と禅の思想が融合した独特のスタイルが特徴で、見る者に深い感銘を与えます。
およそ1000点もの作品が収蔵されており、3ヶ月ごとに展示を入れ替えてるので、訪れる度に新たな発見があります。更に、田嶋画伯のアトリエで実際に使用された画材や貴重な色見本帳も展示しており、画家の創作過程を垣間見ることができます。
結工房 田嶋宏行記念美術館の概要
美術館名 | 結工房 田嶋宏行記念美術館 |
住所 | 〒158-0091 東京都世田谷区大蔵 1-13-14 |
電話番号 | 0354946529 |
アクセス | 小田急線成城学園駅または田園都市線用賀駅よりバス NHK技術研究所前 下車徒歩4分 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
開館日 | 水~日曜日 |
休業日 | 月・火曜日 |
所要時間 | 60分 |
料金 | 一般 1000円/高校生以下は無料 |
来館サポート情報 | 調査中 |
公式HP | 公式サイト |
宮本三郎記念美術館 (世田谷美術館分館)

- 宮本三郎の10,000冊以上の蔵書などを含む作品を楽しめる
- 宮本三郎の絵画における色彩の魅力が楽しめる
1998年、世田谷区は洋画家 宮本三郎氏の家族から、大量の作品群と多数の書籍や資料類の寄付を受け入れました。大量の作品群は油絵や水彩画、スケッチなど約4,000点、さらに10,000冊以上の蔵書が含まれ世田谷区に美術において多大な影響を与えました。
そこで世田谷区は、宮本三郎氏の制作拠点があったこの場所に、2004年4月に新たに美術館を設立し、この美術館では年に2回から3回、宮本三郎氏の多岐にわたる作品を展示しており、宮本三郎の色彩への鋭敏な感覚を味わうことができます!
宮本三郎記念美術館の概要
美術館名 | 宮本三郎記念美術館 (世田谷美術館分館) |
住所 | 〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5-38-13 |
電話番号 | 0354833836 |
アクセス | ・電車 東急東横線・大井町線 自由が丘駅から徒歩7分 東急大井町線 九品仏駅から徒歩8分 東急目黒線 奥沢駅から徒歩8分 ・バス 東急バス(渋11) 渋谷駅~田園調布駅 奥沢六丁目から徒歩1分 東急バス(園01) 千歳船橋~田園調布駅 浄水場前から徒歩10分 |
営業時間 | 10:00~18:00 (入館は閉館30分前まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、展示替期間、年末年始 |
所要時間 | 60分 |
料金 | 一般: 200円(160円)/ 高大学生: 150円 (120円) / 65歳以上: 100円 (80円) 小中学生: 100円(80円)/ 障害者の方: 100円 (80円) ※()は20名以上の団体/ 世田谷区内在住・在校の小・中学生は土、日、祝・休日および夏休み期間は無料 |
来館サポート情報 | 車椅子対応トイレ有 |
公式HP | 公式サイト |
清川泰次記念ギャラリー (世田谷美術館分館)

- 抽象的な表現を追い求めた清川泰次の作品が展示
- アトリエが改装されたギャラリー
世田谷美術館分館である「清川泰次記念ギャラリー」は、著名な日本画家、清川泰次のアトリエを改装したギャラリーです。東京都世田谷区に位置しており、清川泰次の作品を中心に、絵画や現代美術の展示を行っています。
この記念ギャラリーは、清川泰次の芸術的遺産を保存し、一般公開することを目的として設立されました。具体的なものから離れた抽象的な表現を取り入れた作品で知られています。清川泰次の作品は、自然の美しさを繊細かつ独自の視点で捉えたものが多く、日本画の新たな可能性を示しています。
清川泰次記念ギャラリーの概要
美術館名 | 清川泰次記念ギャラリー(世田谷美術館分館) |
住所 | 〒157-0066 東京都世田谷区成城2-22-17 |
電話番号 | 0334161202 |
アクセス | 小田急線 成城学園前 駅南口から徒歩3分 |
営業時間 | 10:00~18:00 (入館は閉館30分前まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、展示替期間、年末年始 |
所要時間 | 60分 |
料金 | 一般: 200円(160円)/ 高大学生: 150円 (120円) / 65歳以上: 100円 (80円) 小中学生: 100円(80円)/ 障害者の方: 100円 (80円) ※()は20名以上の団体/ 世田谷区内在住・在校の小・中学生は土、日、祝・休日および夏休み期間は無料 |
来館サポート情報 | 車椅子の貸し出し有 車椅子対応トイレ有 |
公式HP | 公式サイト |
向井潤吉アトリエ館 (世田谷美術館分館)

世田谷美術館の一翼を担う「向井潤吉アトリエ館」は、かつて日本の抽象彫刻を牽引した向井潤吉が創作活動を行なっていた工房を公開することで、その芸術的足跡を後世に伝える場所として設けられました。ここでは彫刻家の作業環境そのまま残してあるため、さまざまな作品や資料が展示されており、来館者に創作の過程を体感してもらうことが可能です。
このアトリエ館が位置する世田谷区は、向井潤吉の作品が生まれた背景にも深く関わっており、その環境が彼の芸術にどう影響を与えたのかを知る手がかりも得られます。展示には、彫刻のみならず、彼が使っていた彫刻道具やスケッチブック、ノートが含まれていて、訪れる人々に彼の芸術一筋の生き様を視覚的にも感じ取ってもらえるよう配慮されています。
向井潤吉アトリエ館の概要
美術館名 | 向井潤吉アトリエ館(世田谷美術分館) |
住所 | 〒154-0016 世田谷区弦巻2-5-1 |
電話番号 | 0354509581 |
アクセス | 東急田園都市線 駒沢大学駅西口から徒歩10分 東急世田谷線 松陰神社前駅から徒歩17分 |
営業時間 | 10:00~18:00 (入館は閉館30分前まで) |
休業日 | 月曜日(祝日にあたるときはその翌日)、展示替期間、年末年始 |
所要時間 | 60分 |
料金 | 一般: 200円(160円)/ 高大学生: 150円 (120円) / 65歳以上: 100円 (80円) 小中学生: 100円(80円)/ 障害者の方: 100円 (80円) ※()は20名以上の団体/ 世田谷区内在住・在校の小・中学生は土、日、祝・休日および夏休み期間は無料 |
来館サポート情報 | 車椅子の貸し出し有 |
公式HP | 公式サイト |
まとめ | 世田谷区の美術館全体を通じた文化的価値の提供
世田谷区は多彩な美術館を有しており、それぞれに独特の魅力と文化的価値があります。「世田谷美術館」をはじめ、「五島美術館」や「長谷川町子美術館」などの専門美術館がその例です。これらの施設は、地域文化の発展に寄与すると同時に、訪れる人々に芸術に触れる機会を提供しています。
「村井正誠記念美術館」や「宮本三郎記念美術館」のような、特定の芸術家に焦点を当てた美術館も、芸術家の生涯や作品を深く理解する場となっています。また、「結工房 田嶋宏行記念美術館」や「向井潤吉アトリエ館」などは、より個性的な視点からアートを感じることができるでしょう。
世田谷区のこれらの美術館が集める多様なアートは、訪れるすべての人々に新たな発見やインスピレーションをもたらし、文化的な豊かさを享受する素晴らしい機会を提供しています。